気づいていますか?発達障害児の困った行動なぜ起こる?

発達特性のあるお子様の保護者様は、お子様の行動において次のような経験をよくしていると思います。

  • お子様が自分の好きな活動からの切り替えができず癇癪を起こす
  • 園において、他のお子様と一緒に活動ができず一人で遊んでいることが多い
  • お子様がものを投げて、ものを壊してしまう、または、当てたものを壊してしまう

さて、ここで言う「困った行動」とは、誰が困っているのでしょうか?保護者様が困っているかもしれません、また園の先生が困っているかもしれません、それともお友達が困っているかもしれません。

発達障害児 療育

しかし、一番困っているのは、お子様本人です。「困った行動」の主語はお子様本人であり、お子様が困っている行動と言えます。

お子様はどんなことに困っているのか?

それでは、お子様はどのようなことに困っていて、その結果として「困った行動」になっているのか、一例を以下に挙げます。

困っていること(原因)困った行動
自由にしてていいと言われたが、何をしていいのか分からない部屋中を走り回っていた
感覚過敏で白米が砂のように感じる極端な偏食
次の見通しが立たず不安パニック
自分の思いをうまく表現できない暴言、暴力、ものを投げる

自由時間に、お子様がひたすら部屋中を走り回っているという光景があります。発達特性のあるお子様は、「自由にしておいていい」と言われる曖昧さが非常に苦手とする子もいます。そのようなときに、何をしたらいいのか分からないので、ひたすら部屋中を走り回ったり、なにかを振り回したり、と周りが困ってしまうような行動をすることがあります。

また、発達特性として感覚過敏があります。味覚や触覚、聴覚などの感覚が文字通り過敏であり、ナイロン素材など特定の素材の服の肌触りが感覚的に刺激して着ることができない、という場合があります。食については、白米が砂のような味がするという過敏さもあり、そのような特性があると極端な偏食になることもあります。

お子様は悪気があるわけでもなく、わがままでしているわけでもありません。お子様も困っているのです。そして、その行動には必ず原因があります。

好きな活動から切り替えができず、癇癪を起こす

発達障害児の活動切り替え

例えば、次のようなお子様Aくんがいるとします。

基本情報

  • 一人っ子の男の子
  • 4歳8ヶ月の年中
  • 幼稚園に在籍

診断および特性

  • 自閉症スペクトラム
  • こだわりが強い
  • 初めての場所や人が苦手
  • 数字が好き
  • 特定の素材の服を嫌がる

Aくんは、ブロックで遊ぶことが大好きです。そして、そのブロックで遊んでいる最中にそれを終わって次にやることを指示すると癇癪を起こすことがよくあります。

さて、このAくんは「何に困っているのでしょうか?」

行動の氷山モデル
氷山モデル

こちらは、行動の氷山モデルとなります。「癇癪を起こす」はここでは目に見えるものとなります。つまり、氷山の一角となっていて、その原因となるものは、目に見えないものとなります。

Aが「癇癪を起こす」理由として、言われていることが理解できていないことが考えられます。名詞が分からないこともありますし、動作語やものの用途が分からないということはありえます。また、言葉は分かっているけど、指示が多すぎて理解ができないや、指示があいまい過ぎて理解できないというケースもあります。

ここでは、Aくんの主な原因を、「次の活動への見通しが立てられず不安になっている」「突然の変化に混乱している」という仮説を立てて進めていきます。

このように、原因となるものは目に見えませんので、仮説を立てて進めていくしかありません。それでは、この仮説を立てるためには、どうしたらよいでしょうか。

困った行動の原因を探るためには

行動の原因の仮説を立てるためには、「お子様の発達特性」と「行動の前後を踏まえた行動観察」が必要になります。「お子様の発達特性」については、日頃からのお子様への理解と、一般的な自閉症傾向やADHD傾向の特性を知っておくことが必要になります。一般的な発達特性を知っておくことで、お子様の特性を推測しやすくなります。

それに加えて「行動」の「前」「後」も含めた考察が必要になります。例えば「癇癪」という行動が出る前になにをしたか、何がきっかけになったかなどや、「癇癪」の後に、保護者様や周りの大人がどのような対処をして、結果的にお子様がどのような状態になったかなどです。

自閉症傾向の発達特性

それでは、「お子様に発達特性」の把握に繋がるために簡単に自閉症傾向の発達特性を挙げておきます。

得意なこと苦手なこと
目で見て理解することばを聞いて理解する
細部をよく見る抽象的、あいまい、見えないものを理解する
興味のあることへの集中力他者の視点を理解する
習慣化変化に適応する
明確な規則に従う感覚刺激への過敏性

動画:困った行動なぜ起こる?

本テーマで勉強会をしましたので、その様子を以下の動画で参照いただけます。