療育だけじゃない!教育にも活用できる応用行動分析(ABA)とは?

積み木で遊ぶ幼児と保育士

応用行動分析(ABA)とは

療育の現場ではよく使われる理論として、応用行動分析というものがあります。英語では、Applied Behavior Analysis(ABA)と表現されます。

人間の行動は、「刺激」「行動」「結果」の3つに分類されます。例えば、お腹が空いたという「刺激」があり、その刺激を受けてご飯を食べるという「行動」をします。そして、その「結果」として満腹感を感じます。

応用行動分析のフロー

この「結果」のところで、ご飯を食べても満足感を感じることができない状態だった場合はいかがでしょう。例えば、ご飯を食べると気分が悪くなるという状態になると、そのことを学習することによってお腹が空いてもご飯を食べることをしなくなると思います。

このように、応用行動分析とは行動を3つのプロセスに分けることで、行動を促すこと、もしくは行動を抑止することなどに応用するものとなります。

行動を促すための「効果の法則」

子どもが環境のなかである行動を起こしたことで、その子どもにとって望ましい結果が得られると、その結果によってその行動が増加することを「効果の法則」と言います。

例えば、一生懸命勉強してテストでよい点をとったときに、両親から褒められるという望ましい結果があることで、子どもは次も勉強してよい点をとろうという行動が促されます。

このある行動が増加するかどうかは、その行動の効果すなわち「結果」に依存するという発見が「強化の原理」の基礎になっています。

応用行動分析では、行動を育てる子育てを目指すことが大切です。子どもの「やめてほしい行動」に対して、こころに問題があるとして叱る、諭すなどといった「しつけ的な対応」をするのではなく、「よい行動」や「してほしい行動」をしたら、その直後に子どもにとってよい結果を与えたり、好きな活動ができるように対応します

保育園で給食を食べる幼児と保育士

応用行動分析の基礎

応用行動分析は、日常の生活のなかで起こる行動を取り上げ、その行動がどんなきっかけ(刺激)で起こり、その行動に周囲の人たちがどのように対応しているかを調べることによって、その行動がいつ起こるかを予想したり、起こり方を制御する働きかけを行います。

行動を制御する方法には以下の3つがあります。

  1. 「強化」 行動を増やす
  2. 「弱化」 行動を減らす
  3. 「般化」 行動を広げる
応用行動分析の強化と弱化の例

強化の原理

「強化」とは、行動することで生じた「結果」によって、その「行動が増える」あるいは「起こりやすくなる」状態のことです。

例えば、子どもが部屋の片付けをしていると、お母さんがとても褒めてくれました。そのことによって、子どもは自分から部屋の片付けをするようになりました。この場合、お母さんが褒めてくれたという結果がご褒美(強化子)となって、片付けるという行動を「強化」したことになります

ご褒美(強化子)によって、行動が強化される一方で、「いやなこと(嫌子)がなくなる」ことでも行動は強化されます。

例えば、宿題をしない子どもが、学校に行くたびに先生から怒られます。子どもは先生に怒られるのがいや(嫌子)だったため、怒られないように宿題をきっちりするようになりました。この場合、先生から怒られるという嫌子を取り除くために、宿題をするという行動を「強化」したことになります。

弱化の原理

「弱化」とは「強化」とは逆で、その変化によって、その「行動が減る」というものです。

例えば、子どもが部屋の掃除をしているときに、誤ってお母さんが組み立てたパズルを壊してしまいました。子どもはお母さんから叱られ、その結果として子どもが部屋の掃除をすることが減りました。これは、叱られるという罰(嫌子)によって、行動が減ったケースとなります

一方では、ご褒美(強化子)がなくなることでも、行動を減らすことができます。

例えば、Youtubeを長い時間だらだらと見ている子どもがいます。お母さんが決められた時間を超えて見た場合は、お菓子(強化子)をあげないとしたところ、子どもはだらだらYoutubeを見る行動がなくなりました。

応用行動分析 強化と弱化のまとめ

強化強化子の出現行動が増える
嫌子の消失行動が増える
弱化嫌子の出現行動が減る
強化子の消失行動が減る

このように、応用行動分析は発達障害の子どもの療育だけではなく、定形発達の子どもにも応用ができます。

内発的動機づけをするためには

サッカーをする小学生

行動を動機づけるためにご褒美を使うことに懐疑的な専門家もいます。それは、本来の課題とは直接関係ないご褒美を使うことで、課題自体を実施する楽しみや、課題を完成させることで生じる達成感などの内発的動機づけを奪ってしまうのではないかというものです。

一方では、課題を行うこと自体を楽しめるようになるとか、達成感を味わうようになるためには、ある程度、その物事に習熟するようになる必要があり、そのためには時間がかかるため、始めの段階でご褒美を活用することは理にかなっているという考えもあります。学びの初期段階では外発的動機づけを活用して、習熟して課題自体を楽しんだり達成感を味わったりするようになったら、ご褒美を外すということです。

私の考えとしては、画一的にするのではなく、その子どもに合わせて外発的動機づけ(ご褒美)や内発的動機づけの割合や活用する段階を使い分けたらよいと思います。そのためにも、その子どもの特性や好み、個性などをしっかり理解する必要があります。