療育の第一歩 ADHD(注意欠陥多動症)の子どもの特徴を知ろう

ADHDという名前も、発達障害の認知度が上がるにつれて、みなさんによく知られるようになってきました。ADHDは注意欠陥多動症と言われ、不注意・衝動性・多動性の3つを特徴としています。

忘れ物が多い、不注意でケアレスミスが多い、1箇所にじっとしていられない・集中力が持続しない、カッとなって友達をけんかしてしまう、などが行動の特徴となります。

これらの行動の特徴は、一見すると誰にでも当てはまるような気がします。ただ、発達障害やADHDと診断される子どもは、これらの特徴が顕著かつ複数発症することで、社会生活に支障をきたすケースが頻繁にあります。また、一見すると本人が怠けているように見られることも多く、そのため本人は周りから怒られることが多くなり、自己肯定感が醸成にしくい側面もあります。

ADHDの診断基準とは?

ADHDに関するアメリカの精神医学会の「DSM-5」の診断基準では、「症状が少なくとも6ヶ月以上持続してみられ、それらの程度は、不適応的であり、発達水準に相応しないもの」とあります。

つまり、3歳は3歳の平均と比べてどの程度不注意であるか、10歳は10歳の平均と比べてどの程度多動であrかを見ることが必要です。

また、これらの症状が家庭や学校といった複数場面で見られることが診断基準を満たすことになります。

「DSM-4」のときは、ADHDと自閉症スペクトラムの症状が見れた場合、診断の重複はルール上認められていませんでしたが、「DSM-5」ではADHDと自閉症スペクトラムが併記できるようになりました。実際の診断では、ADHDの症状と自閉症スペクトラムや学習障害の特徴が併発することが多いため、より実態に近い診断方法に変更された形となります。

ADHDの行動特徴

ADHDは注意のなさ、過活動、衝動性などが就学前までに生じて、その後も持続します。

注意のなさには、注意の集中時間が短いこと、注意の方向がすぐに変わること、不注意な行動が多いことが挙げられます。

過活動は、離席などの移動性の多動と手足をモジモジさせるなどの非移動性の多動に分けられます。

衝動性には、順番が待てない、他人の行動に割り込む、過度のおしゃべりが目立つなどが挙げられます。

ADHDの不注意の特徴

  • 不注意な間違い
  • 集中の困難
  • 話を聞いていない様子
  • やり遂げられないことがある
  • 課題の順序立てが困難である
  • がんばらなければいけないことを割ける
  • 課題や活動に必要なものをなくしてしまう

ADHDの多動性の特徴

  • 手足をそわそわと動かしたり、いすの上でもじもじする
  • よく席を離れる(離席行動)
  • 適切な場面でじっとしていない
  • 静かに遊んだり、余暇活動につくことが苦手
  • 一方的にしゃべることがある

ADHDの衝動性の特徴

  • 質問が終わる前に出し抜けに答え始めてしまう
  • 順番を待つことが苦手
  • 他人の邪魔をしてしまうことがある

ADHDの経過と予後

工作をする小学生たち

症状は幼少期から出現することが多いですが、典型例を除くと就学前に診断することは困難な場合があります。ADHDの学齢期の有病率は3〜5%と言われています(男女比は9:1と男児に多い)

多動性は長じるにつれて目立たなくなりますが、注意集中・持続力の欠如は続き、忘れ物・不注意の多さ、指示された歳の学習効果のなさから、周囲から怠けている、素直でないという評価を受けやすく、自己評価が低下したり、衝動性が進むことがあります。

大人や、自分より年下の子どもは、自分のペースに合わせて遊んでくれるため、比較的関係性を持つことは容易です。ただ、同学年の友達と関係性を持つことが苦手で、「からかい」や「いじめ」の対象になることもあります。

ADHDの行動特徴は、年齢とともに緩和されることが知られています。アメリカ精神医学会の診断基準である「DSM-5」では、ADHDの有病率は子どもで5%、大人で2.5%と書かれています。つまり、治るというのは難しいのですが、症状が見られなくなる場合は半数ほどあるということです。

ADHDの治療

以前より、中枢神経刺激薬が多動や集中力の改善に有効であることが知られおり、現在も第一選択薬となっています。多動や集中困難の原因を覚醒・睡眠レベルの障害ととらえ、昼間の覚醒レベルを引き上げることによる症状の改善と考えられています。

多くの中枢神経刺激薬は覚醒作用を有しており、その使用に制限があるため、現在日本国内で使用されているのは、安全性が高いと言われるメチルフェニデート(リタリン)がほとんどとなっています。

効果は通常数時間となっており、朝と昼に飲むことが多いです。睡眠前に飲むと不眠を招くことがあり、学習時間を考慮した服薬が必要となります。

しかしながら、長期の投薬では、効果の減退や食欲低下などの副作用を生じることがあります。効果の減退を防ぐためにも、週末などに休薬日をもうけることもあります。いずれにしても薬物治療は、専門医と十分に協議することが肝要となります。